【福祉文教委員会】介護人材確保で新卒者へ50万円の就業準備金支援について(高山市議会 / 令和8年7月21日)

令和8年7月21日に開催された高山市議会福祉文教委員会において、令和9年度から実施を予定している新たな介護人材確保対策について質疑しました。

今回、市からは、新卒者が市内の介護事業所に就職した場合に50万円の就業準備金を支給する制度と、高齢者や潜在介護人材が介護事業所で一定期間働いた場合に5万円の就業奨励金を支給する制度が新たに示されました。

(副委員長を務めているため、委員会運営を補佐しながら、他の委員の質疑と重複しない論点を中心に確認しています)

目次

深刻化する介護人材不足

高山市では、第九次総合計画の重点事業として介護人材確保対策を進めています。

介護支援専門員への処遇改善、資格取得・更新費用への助成、外国人雇用への支援などを行っている一方、人材不足によって入所施設の受入定員を縮小する事例なども発生しています。

今後も要介護認定者の増加が見込まれる中、介護人材を確保できなければ、必要なサービスを受けられない方が増え、家族の介護負担など市民生活全体へ影響が及ぶことが懸念されています。

こうした状況から、市は令和9年度から新たな人材確保策を実施する方針を示しました。

新卒者が介護事業所に就職すると50万円

新たな制度では、高校、大学、専門学校などを卒業した新卒者が市内の介護事業所へ就職した場合、就業準備金として50万円を支給します。

市は、新たに就職する際には、アパートへの入居や自動車免許の取得、車の購入などで100万円以上の費用が必要になるケースもあるとして、その半額程度を支援する考えです。対象者は35歳未満で、学校などを卒業してから1年以内の方を想定しています。令和9年度は10人程度の利用を見込んでいます。

また、5年間勤務すれば50万円の返還は不要となりますが、5年未満で退職した場合には、1年勤務するごとに10万円ずつ返還を免除する仕組みを予定しています。

第二新卒や中途採用は対象にならないのか

Q 業界未経験の第二新卒や、30代、40代の中途採用については支援の対象にならないのか。そうした人材についての議論は行ったのか。

A 今回の新卒者については、35歳未満で、卒業から1年未満の方を想定している。

Q 大学卒業後1年から3年程度で転職する第二新卒や、一度就職した後に別の会社・業界へ転職する場合は対象になるのか。

A 一度就職した後、改めて専門学校などへ入り、卒業して介護事業所へ就職する場合は対象になる予定である。

Q 学校へ入り直すのではなく、全く違う業界で働いていた方が介護業界へ転職するケースについて、支援を検討したのか。

A 今回新たに設ける制度は新卒者を対象としている。他業界から介護事業所への転職については、特に新たな支援を予定していない。

なぜ介護職だけ50万円を支援するのか

Q 50万円の積算根拠として、アパートや自動車免許など就職時に約100万円の費用が必要になるとの説明があったが、こうした費用は介護職だから特別に必要となるものではない。他業界からも同様の支援を求める声が出る可能性があるが、なぜ介護分野を優先して支援するのか。

A 就職時に費用が必要となることは介護職以外も同様である。一方、高齢者数のピークが目前に迫る中、介護サービスを提供する体制を確保できなければ、市民生活全般へ影響が及ぶ。今対策を講じなければ深刻な状況になることから、介護分野を優先して取り組む。

50万円の支援が本当に人材確保につながるのか

今回の制度は、令和9年度予算の成立を前提として、高校や福祉系大学、ハローワークなどへの周知を令和8年度から進めます。新卒者への50万円という支援は、介護分野を就職先として選ぶ一つのきっかけになる可能性があります。

一方、人材確保の課題は「就職してもらうこと」だけではありません。介護現場では、給与や働き方、業務負担、職場環境など、定着につながる様々な課題があります。

採用時のインセンティブだけでなく、実際に何人が制度を利用して介護分野へ就職したのか、そのうち何人が継続して働いているのかまで追跡し、制度の効果を検証することが重要です。

教育現場の生成AI活用について大阪市を視察へ

福祉文教委員会では、学校教育分野の政策課題として、教育現場における生成AIの活用について調査研究を続けています。

今回の委員会では、7月31日に大阪市を行政視察し、「教育DX及び生成AI活用に関する基本方針と推進体制」「教職員の業務改善及び校務DXにおけるAI・ICT活用」を調査することが確認されました。

学校教育分野を担当する私と水門委員が報告書を作成することとなっています。

これまで高山市の現状や姫路市の取組なども調査してきましたが、今回はさらに、教育委員会として生成AIをどのように位置づけ、組織として推進しているのかという体制面も含めて調査します。

今回の委員会で確認したポイント

今回の委員会では、深刻化する介護人材不足に対し、高山市がこれまで以上に踏み込んだ人材確保策を検討していることを確認しました。

新卒者への50万円の就業準備金は、令和9年度に10人程度の利用を想定しています。介護分野を就職先として選ぶきっかけをつくるという意味では、大きな支援策です。

一方、対象は原則として学校等の卒業から1年以内の新卒者であり、異業種で一度働いた後に介護分野へ転職する方などは対象となりません。人材確保という目的を考えれば、新卒者だけでなく、第二新卒、中途採用、潜在有資格者、高齢者、外国人材など、それぞれに適したアプローチを組み合わせる必要があります。

また、人手不足は介護分野だけの課題ではありません。今回、なぜ介護分野を優先して大規模な支援を行うのかについて、市からは、今後さらに介護需要が高まり、サービス提供体制が維持できなければ市民生活全般へ影響するため、今の段階で重点的に対策する必要があるとの考えが示されました。

制度を始めることだけで終わらせず、実際に新たな介護人材を確保できたのか、その方々が地域に定着したのかまで検証し、必要に応じて対象者や支援方法を見直していくことが重要です。

また、学校教育分野では、大阪市の教育DX・生成AI活用について行政視察を行います。高山市でも教育現場での生成AI活用について検討が進み始めている中、先進自治体の推進体制や実践例を確認し、今後の政策形成につなげていきます。

※質疑・答弁及び政策形成サイクルに関する内容は、高山市議会福祉文教委員会の会議録をもとに、趣旨やニュアンスを損なわない範囲で読みやすく整理しています。より詳細な質疑内容については、高山市議会の議事録もしくは高山市議会YouTubeによる中継をご覧ください。

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