令和7年9月の高山市議会定例会において、
「個別避難計画」の作成について一般質問を行いました。
1.質問の背景
大規模災害が発生した際、高齢者や障がいのある方、妊産婦、外国人住民など、自力での避難が難しい方の逃げ遅れを防ぐことは極めて重要です。そのための仕組みが「個別避難計画」であり、国も市町村に対して計画作成を強く求めています。
高山市の地域防災計画にも、避難行動要支援者名簿に基づき、本人同意を得ながら個別避難計画を作成することや、積雪・凍結といった高山市特有のリスクを踏まえて優先度を考慮することが明記されています。
一方で、計画作成の進捗や、名簿の取りこぼし、情報共有の同意の課題など、実効性の面で確認すべき点もあることから、市の考えを伺いました。
2.質問と市の答弁(Q&A)
Q1:個別避難計画の作成の進捗状況、更新体制は。
A1:個別避難計画の作成につきましては、毎年、避難行動要支援者名簿に登録いただいている方の情報を各町内会へ共有させていただき、個別避難計画の作成に御協力いただくようお願いをしております。
令和7年4月1日現在の人数ですが、市全体で避難行動要支援者名簿登録者が1,746名で、そのうち個別避難計画作成者は771名となっており、約44%の方に個別計画を作成いただいております。
なお、個々の計画につきましては、民生委員の御協力により名簿の情報を見直すとともに、個別計画の内容についても、各町内会に毎年共有しながら、更新ですとか新規作成に御協力をいただいております。
Q2:「避難行動要支援者名簿」に記載される時点で取りこぼしはないのか。
A2:避難行動要支援者名簿への登録は手挙げ方式、支援を希望する方に申請をしてもらうやり方を採用していることから、名簿に登録されていない潜在的な要支援者は存在していると捉えております。
このため、広報やSNSによる周知を行うとともに、町内会やまちづくり協議会などの連携を通じ、手を挙げることが難しい方に働きかけを行っていただく必要があると考えております。
また、介護サービスを利用されている方などに対しては、ケアマネジャーや地域包括支援センターに御協力をいただきながら、支援を必要とする方が名簿へ登録いただけるよう取り組んでまいります。
Q3:関係者への情報提供において、本人の同意の有無による課題は。
A3:避難行動要支援者名簿に登録する際には、申請時点で情報提供に関する本人の同意をいただくこととしております。行政機関のほか、警察、社会福祉協議会、民生委員、町内会、自主防災組織、消防団などへの情報提供について事前に同意をいただくこととしております。ただ、本人が同意をできない状態、認知症等の場合については、そこまでの想定はしておりませんので、今後、他市の状況も確認しながら検討していきたいと考えております。
避難行動要支援者名簿に登録されている方々の中には介護サービスの利用者も多く、ケアマネジャーがいる場合については要支援者の状況を詳細に把握されているため、実効性のある個別避難計画の策定に向け必要な関係者もおみえになります。情報提供先が限定されていることから、ケアマネジャーへの情報提供に関する同意の記載がないことが課題であるという認識もしておりまして、今後、同意の内容にケアマネジャーなどの関係者への情報提供に関する項目を追加するなど、情報の提供の範囲についても検討のほうを進めてまいりたいと考えております。
Q4:実効性の高い個別避難計画を着実に作成していく上で、今後の工夫や展望は。
A4:実効性の高い個別避難計画を効率的に作成するために、ケアマネジャーや相談支援専門員などに御協力をいただいている自治体もございます。
要支援者の生活状況やニーズを詳細に把握しているケアマネジャー、相談支援専門員は、計画の策定に十分御協力をお願いできるといい計画が立てられるということもありますので、民間事業者に協力をお願いし、計画策定の一部を委託することは実効性の高い計画策定に有効であると考えております。
今後は、民間事業者への委託に加え、様々なデジタル技術の活用も通じて計画作成の効率化を進めることなど、地域の皆さんの御協力をいただきながら、引き続き検討を進めていきたいと考えております。
3.今回の質問を終えて
個別避難計画は、災害時に命を守るための極めて重要な仕組みです。一方で、現状では計画作成率は約44%にとどまり、避難行動要支援者名簿にも取りこぼしがある可能性が市からも示されました。
また、本人同意や情報共有の課題、町内会や自主防災組織に大きく依存している現状など、着実に前へ進めるためには整理すべき課題も多いと感じています。
今後は、地域の支え合いを大切にしながらも、ケアマネジャーや相談支援専門員などの専門職、民間事業者との連携を強化しながら、デジタル技術なども活用し、より実効性の高い個別避難計画づくりを進めていくことが重要です。
誰一人取り残さない避難体制の構築に向けて、引き続き市の取り組みを後押ししていきたいと思います。
より詳細な質問・答弁内容については、高山市議会の議事録もしくは高山市議会YouTubeによる中継をご覧ください。
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