【高山市議会】教育現場における生成AIの活用について(令和7年6月議会 / 一般質問)

令和7年6月の高山市議会 定例会において、
教育現場における生成AIの活用について一般質問を行いました。

目次

1.質問の背景

近年、生成AIは急速に進化し、社会やビジネスの分野だけでなく、教育現場にも大きな影響を与え始めています。テキストや画像、動画などを生成できるAIは、すでに世界中で教育に活用され始めており、日本でも文部科学省がガイドラインを示すなど、学校教育での活用について議論が進んでいます。

実際に全国では、AIを活用して文章の推敲やイラスト制作を行う授業や、ディベートの論点整理に生成AIを活用する授業、さらにはAI型教材による個別最適化学習などの事例が生まれています。一方で、誤情報の生成(ハルシネーション)や個人情報の扱い、AIへの過度な依存などの課題も指摘されており、教育現場では慎重な議論も必要とされています。

また、生成AIは児童生徒の学習支援だけではなく、教職員の業務負担の軽減にも活用できる可能性があります。授業準備や教材作成、アンケート分析などの業務の効率化につながることが期待される一方で、適切なルールや研修体制の整備も欠かせません。

さらに近年では、ディープフェイクと呼ばれるAI技術による偽画像・偽動画の問題も深刻化しており、児童生徒が被害者にも加害者にもなり得るリスクが指摘されています。こうした背景を踏まえ、教育現場における生成AIの活用状況や今後の可能性、情報モラル教育や相談体制の整備について市の見解を伺いました。

2.質問と市の答弁(Q&A)

Q1:全国的に教育現場で生成AIの活用事例が増えてきている中、市内の小中学校での活用状況は。他自治体の先進事例を踏まえた活用可能性の検討は。

A1:文部科学省では、生成AIの導入活用について各県に実証研究を進めるよう要請しており、岐阜県内においても先行的に研究している指定校が2校あります。しかしながら、県内では授業に生成AIを導入活用しているうち自治体はなく、生成AIの活用については、まだ模索段階であると認識しております。  
 学校教育では、こどもたちに社会で生きて働く学力の3要素である知識技能、思考力、判断力、表現力、そして、学びに向かう態度を育成するために、日々教育活動を行っているところですが、この育成段階で生成AIの活用を進めることは、こどもたちに確かな学力を身につける機会を奪ったり、こどもたちの学びを停滞、阻害したりすることにつながりかねないと心配しております。また、教育というのは、人と人との関わり合いの中で生み出されるものであり、その中で自分の考えを形成したり、知識、技能を習得したり、思考力、判断力、表現力を高めたりするものであります。したがいまして、こどもたちへの生成AIの導入によって、生成AIに頼り、考えや答えを生成AIに委ね、自分で深く物事を考えることをしないこどもたちになってしまっては、高山市の第九次総合計画に掲げる人づくりという方向性から離れてしまうものと考えております。  
 こうしたことからも、授業で生成AIをこどもたちが活用することを推奨することについては現段階では考えておりません。しかし、時代の流れとともに、こどもたちも将来的に生成AIを活用することが大いに考えられます。生成AIという言葉だけが先行して、その中身や取扱いについての理解が不十分とならないよう、義務教育の段階では、生成AIに関する正しい知識や取扱い方を学校教育の中で丁寧に指導していく必要があると考えております。

Q2:授業準備やテスト問題作成、校務の効率化などの教員業務における生成AIの活用可能性は。導入に向けてニーズや課題の把握は。

A2:教職員の生成AIの利用については、使い方によって業務の効率化につながり、働き方改革にもつながる可能性があるものと考えております。 教職員には、生成AIを活用する際には、国のガイドラインに準じて業務の補助として適切に扱うよう指導しているところです。現在、教職員の活用状況は、保護者などへの配付文書の素案づくりや授業で提示する教材のたたき台の作成、アンケートなどの集約や分析の補助などに活用しており、業務の効率化につながっているとの声も聞いております。
 一方、課題としましては、過度に生成AIに依存することは、教員の専門性や教員の人柄、教員としての判断力を損なうことになり、あくまでも補助的な役割として活用することが望ましいと指導しているところです。また、生成AIが提供する情報は必ずしも正確であるとは言い切れないので、生成された内容を教職員自身が確認、修正することが不可欠であり、その上で生成AIを活用していくことが大切であると考えているところです。

Q3:文部科学省は生成AI活用のガイドラインを示しているが、実際に教職員に浸透しているのか。市教育委員会として、教職員や児童生徒に向けた活用方針や研修の仕組みは。

A3:文部科学省が示す生成AI利活用のガイドラインについては、各学校に文書を送付し、校長会や教頭会などで説明しながら、繰り返しの周知を図っているところです。そこで、まず教職員に対しては、各学校の情報活用担当教員が集まる情報担当者会を開催し、教育委員会から生成AIの情報やその活用、取扱いについてガイドラインを踏まえた研修を行い、その後、各学校でも情報担当者が受講職員に伝達研修を行っております。また、今月も生成AIの有識者の大学教授を講師に招き、研修会を実施する予定です。
 また、児童生徒に対しては、学校外での活用、将来的な活用の観点から、生成AIとはどういうものであるかや、生成AIをどのように取り扱うべきであるかについて指導を行い、こどもたちが生成AIへの正しい理解と取扱いを学ぶことができるように進めているところです。教育委員会としましては、まずは教職員自身が生成AIに対する知識や理解を深められるよう進めてまいります。

Q4:急速に進化するディープフェイク技術により、児童生徒が名誉毀損やわいせつ被害、いじめ等に巻き込まれるリスクが高まっている。情報モラル教育の見直しに加え、相談・通報体制の実効性、警察・保護者との連携体制の整備状況は

A4:高山市でも、学校における情報モラル教育の重要性が増しており、昨年度、義務教育段階における情報モラル教育の年間指導計画を新たに作成して、各学校に指導の充実を周知したところです。そんな中、生成AIが加速的に普及し、学校外の活用についても、SNSと同様に、児童生徒が様々なトラブルに巻き込まれたり、中には犯罪につながったりするリスクも生まれてくると考えています。
 これまでも、SNSの活用で児童生徒間でのトラブルについては複数確認されており、こうした事案については、家庭と学校だけで対応せず、警察にも相談し、適切に対応しています。生成AIに関わるトラブルについても、警察を始めとする関係機関と連携して対応してまいります。  今後、生成AIの活用については、児童生徒が大人の知らないところで使用していく可能性が予想されることから、児童生徒に生成AIに関する正しい知識や取扱いに関する留意点を指導するとともに、保護者や教職員など、大人に向けても生成AIについての正しい理解を広めていくことにも努めてまいります。

3.今回の質問を終えて

今回の答弁では、高山市内の小中学校において児童生徒が授業で生成AIを活用する段階にはまだ至っておらず、現時点では慎重な姿勢が取られていることが示されました。一方で、教職員による業務補助としての活用や、生成AIに関する正しい知識の指導などは進められており、教育委員会としても研修や情報共有を行っているとのことでした。

生成AIは、単なる一時的な技術ではなく、これからの社会の基盤となる可能性が高い技術です。将来、子どもたちはAIとともに働き、生活する社会を生きていくことになります。だからこそ、「使わせない」「任せる」という二択ではなく、どのように向き合い、どのように活用していくのかを教育の中で考えていくことが重要だと感じています。

教育の現場はこれまでも、インターネットやSNSなど新しい技術への対応を迫られてきました。生成AIについても、単に「使い方」を教えるのではなく、子どもたちが技術とどう向き合い、どう責任を持って活用していくのかを学ぶ機会をつくることが求められています。

これからの時代を生きる子どもたちのために、高山市としても時代の変化を見据えながら、教育現場におけるAIとの「付き合い方」を前向きに検討していくことを期待しています。

より詳細な質問・答弁内容については、高山市議会の議事録もしくは高山市議会YouTubeによる中継をご覧ください。

市政に関するご意見やご相談がありましたら、お問い合わせフォームやSNSからお気軽にお寄せください!!

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