【高山市議会】地域資源を活かした地熱発電の可能性と地域戦略について(令和8年6月議会 / 一般質問)

令和8年6月の高山市議会 定例会において、
地域資源を活かした地熱発電の可能性と地域戦略について一般質問を行いました。

目次

1.質問の背景

近年、電気料金の高騰や自然災害への対応、脱炭素社会への移行などを背景に、地域で消費するエネルギーを地域で生み出す「エネルギーの地産地消」の重要性が高まっています。地域内でエネルギーを確保することは、電力の安定確保だけでなく、災害時のレジリエンス強化や地域経済の活性化にもつながる可能性があります。

高山市は、豊かな森林や水資源、温泉資源など、多様な地域資源に恵まれています。これまでも、小水力発電や木質バイオマスなど、地域資源を活用した再生可能エネルギーの取組が進められてきました。その中で今回注目したのが、奥飛騨温泉郷をはじめとする豊富な地熱資源です。

地熱発電は、天候や昼夜の影響を受けにくく、年間を通じて安定した発電が期待できる一方で、掘削にかかるコストや温泉資源への影響、地域住民との合意形成など、慎重に検討すべき課題もあります。

そこで、地熱発電を単なる発電事業としてではなく、観光や地域振興、地域ブランド、地域への利益還元なども含めた地域戦略の一つとして活用できないかという視点から質問しました。

2.質問と市の答弁(Q&A)

Q1:電気代高騰、災害時のエネルギー確保、脱炭素の観点から、地域内でエネルギーを生み出す重要性が高まっている中、市として、地域資源を活かした再生可能エネルギーの活用可能性をどのように認識しているのか。

A1:近年の電気料金の高騰や災害時の電力確保、2050年ゼロカーボンの実現を見据え、地域内でエネルギーを地産地消することの重要性は高まっていると認識している。高山市は、広大な市域や中山間地域特有の急峻な地形、豊富な森林資源や水資源などを有しており、自然エネルギーの活用について高い可能性がある。環境省の脱炭素先行地域にも県内で唯一選定されており、小水力発電や木質バイオマス熱電併給などにより、自然エネルギーの地産地消、地域経済の循環、地域活性化、ゼロカーボンに向けた取組を進めている。高山市第九次総合計画や高山市環境基本計画においても、地域資源を活かした再生可能エネルギーの導入・利用促進を位置づけている。

Q2:地熱発電について、太陽光発電や小水力発電など他の再生可能エネルギーと比較した場合の特徴や優位性、課題をどのように認識しているのか。また、高山市における有効なエネルギー供給源としての可能性をどのように考えているのか。

A2:地熱発電は、太陽光発電と比較して天候や昼夜の影響を受けにくく、年間を通じて安定的に発電できることが大きな特徴であり、小水力発電や木質バイオマス発電と比較しても発電能力が高い再生可能エネルギーである。一方で、地熱資源の有無や規模を把握するための調査に長期間を要することや、掘削などに多額の事業費が必要となること、温泉資源など地域産業への影響が懸念されるといった課題がある。高山市環境基本計画では、自然環境や景観、地域特性に配慮した地熱発電も有効な再生可能エネルギーの一つとして捉えている。特に奥飛騨温泉郷は、焼岳など豊かな地熱資源に恵まれており、有効なエネルギー供給源として活用できる可能性がある。地熱利用を進める際には、環境保全や既存の温泉資源を活用した地域産業との共存について、地域住民との十分な合意形成が必要となる。

Q3:高山市、とりわけ奥飛騨温泉郷は全国有数の温泉地であり、豊富な温泉資源に恵まれています。こうした地域特性を活かし、観光資源としての温泉だけでなく、持続可能なエネルギー活用の先進地域としてのブランド形成や地域戦略につなげていく考えはあるのか。

A3:中尾温泉では、地熱発電によって発生する温泉の地域利用や、温泉源の一元管理による効率化などが進められており、自然エネルギーを活用した先進的な地域として多くの視察者を受け入れている。高山市は、小水力やバイオマス、地熱など、様々な自然資源を活用したエネルギー利用が可能な地域であり、これは高山市の強みの一つである。地域振興や高山市のブランド形成につなげていくのであれば、自然エネルギーの活用を積極的に進めているまちとしてPRしていくことも考えられる。

Q4:地熱発電事業等が地域で実施される場合には、地域住民の理解と協力が不可欠です。税収や雇用創出、地域振興など、地域がメリットを実感できる仕組みづくりを含め、市として地域還元のあり方をどのように考えているのか。

A4:地熱発電をはじめとする再生可能エネルギー事業を地域で進めるためには、地域住民の理解と協力が不可欠であり、地域も事業主体と協調しながら、その効果を実感できることが重要である。再生可能エネルギー事業によって、固定資産税などの市税収入のほか、施設建設における地元事業者の受注機会、施設の維持管理に伴う雇用の創出、関係人口の増加による地域コミュニティの活性化などが期待できる。また、利益配分や地域への協力金などの仕組みを構築することで、地域活動の活性化にもつながる。事業の効果を地域全体で共有し、持続的な地域振興につなげるためには、事業者と地域住民が十分に対話を重ねながら、地域の実情に応じた還元の仕組みを検討していくことが重要である。

3.今回の質問を終えて

今回の一般質問では、地域資源を活かした再生可能エネルギーの可能性、とりわけ地熱発電の特徴や課題、奥飛騨温泉郷をはじめとする地域特性を活かした地域戦略、地域への利益還元について伺いました。

高山市は、小水力や木質バイオマス、地熱など、多様な自然エネルギーを活用できる可能性を持っています。その中でも地熱発電は、天候や昼夜の影響を受けにくく、年間を通じて安定的な発電が期待できるという大きな特徴があります。

一方で、調査や掘削に多くの時間と費用を要することや、既存の温泉資源への影響、自然環境や景観への配慮など、慎重に検討しなければならない課題もあります。

特に奥飛騨温泉郷にとって温泉は、地域の暮らしや観光産業を支える大切な地域資源です。地熱発電を進める場合には、発電ありきではなく、地域住民や温泉事業者との十分な対話と合意形成を前提とすることが重要だと考えています。

その一方で、地熱を「発電するための資源」としてだけ捉えるのではなく、地域づくりの資源として考える視点も必要です。

奥飛騨温泉郷では、中尾地区をはじめ、地域主体で地熱を活用した取組がすでに進められています。こうした取組を、エネルギーの地産地消だけでなく、持続可能な温泉地づくりや観光振興、地域ブランドの向上につなげていく可能性があります。

また、再生可能エネルギー事業によって生まれる利益を、地域にも還元していく仕組みづくりも重要です。固定資産税などの税収だけではなく、地元事業者の受注や雇用、地域活動への支援、関係人口の増加など、地域の皆さんが具体的なメリットを実感できる形にすることで、地域の理解や主体的な取組にもつながっていくと考えています。

観光、環境、エネルギー、地域振興は、それぞれ別々の政策ではありません。高山市が持つ豊かな地域資源をどのように活かし、その価値を地域経済や地域の暮らしに還元していくのかという視点で、横断的に考えていくことが必要です。

地熱発電についても、市が事業を見守るだけではなく、地域が主体となって地域資源を活かした取組を進めたいと考えた際に、調査や合意形成、事業者との調整などを支援できる体制が重要だと考えています。

奥飛騨温泉郷をはじめとする高山市の強みを活かしながら、持続可能な地域づくりにつながる取組がさらに進むことを期待しています。

より詳細な質問・答弁内容については、高山市議会の議事録もしくは高山市議会YouTubeによる中継をご覧ください。

市政に関するご意見やご相談がありましたら、お問い合わせフォームやSNSからお気軽にお寄せください!!

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